不動産投資による社会貢献と個人の経済的自立とは(前編)

不動産投資による社会貢献と個人の経済的自立とは(前編)

関田タカシ(せきた たかし):学生時代に『金持ち父さん』シリーズに影響を受け、在学中に起業。 その経験を就職活動での武器に、不動産・金融を目指す。 大学卒業後、大手不動産仲介業者(実需)にて活躍。転職を経て「投資用不動産」に集中できる、収益不動産専門の売買仲介業に従事。 そこからヘッドハンティングされ、現在では、国内外年間約200億円の収益不動産を扱う投資用不動産専門業者の売買営業担当に至る。https://sekitatakashi.com/

WealthPark研究所 所長 加藤航介(かとう こうすけ)‐ プレジデント/インベストメント・エバンジェリスト:「すべての人に投資の新しい扉をひらく」ための研究、啓発のための情報発信を行なう。2021年より現職。

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誰かの役に立ち、社会の豊かさを創るのが不動産投資

加藤:本日は、収益不動産を売買する会社にお勤めのプロフェッショナルであり、また個人不動産投資家としてWealthParkのオーナーアプリを使っていただいている関田さんと、2つのテーマについてお話させていただければと思います。1つ目は不動産投資が持つ社会的意義とは何なのか、2つ目は不動産投資の実践的なポイントについてです。

まず、不動産投資の社会的意義について、議論させてください。不動産は人生において欠かせないもので、不動産投資は何千年も前から存在していました。日本では住宅が不足していた戦後より国策として住宅建設が注力され、今は家余りの時代になりました。世界を見渡しても、まだ経済的に豊かでない新興国では住宅の「量」を提供することが重要な政治目標となっていますが、ある程度豊かな先進国になると、その様相は「質」に変わっていきます。現在の日本において、収益不動産や不動産オーナーの存在が、日本社会にどのような貢献をしているのか、関田さんのお考えを教えてください。

関田: 今の日本における不動産投資家の社会の豊かさへの貢献について、最初に思いつくのは「既存の不動産の改善と活用」ですね。例えば、綺麗な街並みに窓ガラスが割れた建物があり続けることは、その街の魅力を大きく落とします。自宅の隣が今にも崩れそうな空き家で、草が生え放題の状態になっていることを喜ぶ方もいないでしょう。改善の余地があり、十分に活用されていない土地や建物に不動産投資家が資金を投じ、内外装の修繕、リノベーションや建て替えを行って、その場所、その時代に合った優良な不動産に変えていく行為は、街としての魅力や価値を上げることに繋がる社会貢献であると言えます。

個人が行うアパートやビルなどへの投資は、大手不動産会社の大規模な都市開発プロジェクトなどと比較するとそのインパクトは小さいと感じられるかもしれません。ただし、私の様な一個人投資家、一オーナーの投資でも、その本質的な役割は変わりません。より快適に暮らせる賃貸物件を社会に提供し、その地域の方々が喜ぶお店の参入を促進することなどは、街を活性化させ社会の豊かさの貢献に繋がります。

また、そのような不動産のバリューアップ行為以外では、社会のセーフティーネットの一躍を担うことなども挙げられるでしょう。例えば、生活保護受給者向けの物件のオーナーになる行為です。そのオーナーは役所経由で収入を得ていきますが、そうした物件の提供そのものがあってこそ、生活保護という制度が成り立っていると言えます。

人々が投資を行う動機は投資に対する対価、すなわちリターンです。ただし、結局は、投資した資産が人の役に立ち、社会全体の豊かさに繋がっていないと、長期的には投資のリターンは手元に残らないのです。

経済的基盤をつくるために、不動産投資を人生に取り入れる

加藤: おっしゃる通りですね。社会に豊かさをもたらす活動というのが、不動産投資の本質であると思います。投資とは、単なる個人のお金儲け目的の活動ではない。暮らしや生活環境向上への貢献、セーフティーネット構築への貢献などの例は、まさに不動産投資家が存在している理由であると思いました。私自身は不動産投資を始めて10年弱で、マンション、アパート、介護施設、アメリカの一軒屋など、勉強も兼ねて色々とチャレンジしてきましたが、関田さんが紹介してくださったような不動産事業の持つ「社会性の高さ」は強く意識して行動しています。

そして、不動産事業を行うようになって、私自身も、一社会人として随分と成長したと振り返ります。不動産投資は、株や投資信託への投資とは違い、投資中も様々なイベントが起こり、ある意味で社長としての意思決定や、多くの関係者との調整が求められます。銀行との交渉もそうですが、不動産事業という副業の経験は、本業の仕事や毎日の生活にも色々な面で役立っています。私は、昨今の副業解禁の流れは、日本の長期的な豊かさの創生に大変重要だと思っています。日本のような先進国の市民に求められるのは、新しい発想を生み出すような多様な経験、経済的に精神的に国や勤め先からより独立すること、だと考えています。不動産事業に関わらずですが、副業の経験者が100万人、1000万人と増えていくことは、日本の未来を明るくする処方箋になると考えます。

関田:そうですね。私が不動産投資を始めた動機は、学生の時に父が脳梗塞で倒れたことです。リハビリを経て、今では一人で生活できるまでに回復しましたが、当時は、親の介護で自分が満足に働けないリスクが目の前にありました。そのため、自分や家族に万が一のことがあった時にも収入を得られる仕組みを作っていこうと思いました。より強い経済的基盤を得るための手段として不動産投資の世界に入っていきました。時期同じくして、プロフィールにも載せている『金持ち父さん』シリーズのコンテンツにも没頭しました。

その後、就職先も不動産業界を選択し、個人投資家としても活動をスタート、今では物件もかなり増えてきました。実は、実母が今年に他界したのですが、母と一緒に住んでいた父には、一人暮らしに便利な私が所有する一棟マンションの一部屋に住んでもらっており、親孝行もできているかなと思います。

私は自分の妻や子供を養う立場にいて、これからも色々とお金もかかるので、まだまだ不動産投資だけで安穏と暮らせるとは思っていませんが、もし昔に不動産投資を始めていなかったら、今より経済面の不安が大きかったことは間違いないでしょう。

加藤: なるほど。ご著書の『超実践 不動産投資のプロ技』にも、関田さんが不動産投資を始められたきっかけについてのご紹介がありましたね。書籍は私も読ませていただきましたが、初心者の方に「不動産投資を始めるにあたり1冊目に何を読んだら良いか?」と聞かれたら、関田さんの本をお勧めしたいと思いました。これ、本心ですよ(笑)。ご自分で経験された苦労話や失敗談が惜しみなく紹介されておりますし、不動産業界の業者側の視点もよく学べるからです。

そして、関田さんの様にゼロから不動産投資に取り組み、自身の経済的独立を得ていく方が日本に増えていくことは、日本全体の大きな豊かさに繋がるという信念を深めました。

ギャンブルの様な投資、いわゆる博打や投機という活動では、勝った人と負けた人の取り分の総合計はゼロで、結局、社会は豊かになっていきません。一方で、正しい投資とは他人や社会全体に豊かさを提供する活動がその本質にあり、結果として、自分と他人の両方を豊かにしていくことです。そして個人投資家が増えるということは、経済的に成熟した個人が増えることを意味します。

私は、自分の子供や若い世代の方には、勤め先以外からの収入を持つことの大切さを真摯に伝えていきたいと思っています。例えば、会社や上司から顧客を無視した会社本意の理不尽な指示があったとしましょう。もし複数の収入がある人なら「お客様のためにならないので、やりません」と断ることができるでしょうが、1つの勤め先に収入を頼り切っているサラリーマンではそれを受け入れるしかない。複数の収入源を持つことは、本業においてより顧客本位の良いカルチャーを持つ企業を育むことに貢献できるのです。結果的に、そのような会社の業績は伸びていくでしょうし、個人も胸を張って生き生きと仕事をすることができる。そのような企業が増えれば、社会全体もより良くなっていくと思います。

不動産業界を変えたSNSの力を知る

関田:大地主さんの一家に生まれた人であっても、私のように資産が無いところから不動産投資を始めるにしても、まずはベースとなる知識を学ぶことは鉄則です。信頼できる経験者からのアドバイスにしっかりと耳を傾け、自分自身でもきちんと勉強をすること。そしていよいよ実践するステージでは、TwitterなどのSNSも優れた情報源になると思います。

加藤: 投資において「学んでから始める」は、とても大切ですよね。自分で知識の土台を作る前に、業者に言われるがままに投資の世界に飛び込み、案の定、火傷をして二度と投資をやらなくなってしまう。投資を人生に正しく実装するか否かは、個人の豊かさに極めて大きな影響を与えますので、このような目に遭うのは人生にとって大きな損失と思います。

私はもともと世界株式のファンド・マネージャーとして金融畑にいましたが、この10年ほどでNISAやiDeCoなどの投資の税制優遇制度が日本では整い、若い世代に金融投資が少しずつ普及し始めています。そして、若い人は「ギャンブル的な投資」と、世界経済の成長を無理なく自分に取り入れるなどの「まっとうな投資」との区分けができていて、それはSNSにおけるオープンな意見交換の場があった影響が大きかっただろうと感じています。ちなみに、不動産業界においてSNSが普及したことで、変わったと思われることはありますか?

関田:はい。SNSが広まったことによって、顧客本位でない不動産業者の悪評が広まるようになったのは、業界にとっても顧客にとってもポジティブな変化と思います。また、SNSでは価値のある情報は瞬時に広がります。今ならこの金融機関が融資に積極的であるとか、この位の金利でこの位の金額を借りられたといった、刻々と変わる融資の情報を個人が得られる機会が生まれたことも、SNSによる大きな変化と思います。今後も、不動産投資を進める情報源として、SNSを活用するメリットは益々、大きくなるものと思います。

なお、多くの不動産会社はリピーターのお客様で成り立っているので、あからさまに顧客を騙そうとする悪徳業者は、実際にはごく一部の例外です。そして、投資家側がSNSなどで業者の評判を知る術ができたことにより、業界が健全にモニタリングされ良い緊張感が生まれました。これはとても良い変化だと思います。

後編に続く

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