コミュニケーションへの投資で未来が変わる!語学が人間に与える付加価値とは?(前編)

コミュニケーションへの投資で未来が変わる!語学が人間に与える付加価値とは?(前編)

これまでにないユニークな子ども向けの英会話学習事業を手掛けるファンファンラーニング株式会社 代表取締役の山中裕斗さんと、WealthPark研究所 所長の加藤が対談。前編では、環境を変えながら新しい自分を探し続ける大切さや、コミュニケーションツールとしての英語をどのように学ぶべきかについてお聞きしました。

ファンファンラーニング株式会社 代表取締役 / マグナパーティ プロデューサー 山中裕斗(やまなか ひろと):高校時代にはアメリカにて現地の同年代と1ヶ月間のキャンプ、大学時代には日本全国から中学生が集い合宿形式で実施する「高円宮杯全日本中学校英語弁論大会」の企画運営に4年間携わり、「仲間」、「海外」、「英語」で価値観が変わる衝撃を受ける。この原体験を元に子どもたちが、仲間たちと英語、コミュニケーションを学ぶ場として、マグナパーティを立ち上げた。以前は、ソニー株式会社、楽天株式会社で中国での海外赴任/留学や海外事業、グループ戦略などをリード。都立小学校の元PTA副会長。「日本中すべての日本人を英語ペラペラに」をミッションに活動。

WealthPark研究所 所長 / 投資のエヴァンジェリスト 加藤航介(かとう こうすけ):「すべての人に投資の新しい扉をひらく」ための研究、啓発のための情報発信を行なう。2021年より現職。

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新しい自分を探し続けることで未来が開ける

加藤:こんにちは。WealthPark研究所の加藤です。本日は子ども向けの英会話学習事業を手掛けるファンファンラーニング株式会社 代表取締役の山中さんをお迎えして、語学やコミュニケーションを身につける楽しさや、その先に広がる未来についてお聞きしたいと思います。

WealthParkは日本に本社を置くベンチャーですが、在籍する社員の半分、ITエンジニアにいたっては9割以上が外国籍という大変にグローバルな組織で、皆が何らかの形で語学の向上に日々、向き合っています。社内の全体会議は英語と日本語それぞれに同時通訳を入れながら行われ、社内イントラネットのslack上での情報共有は複数言語で併記にするなどして運用されています。多様性がある組織の中でどのようにコミュニケーションを行うべきか、山中さんの事業のご経験からも色々な示唆をいただけたら嬉しく思います。

テクノロジーの進歩によりグローバル化が加速する中、語学やコミュニケーションへ我々が投資をしていく重要性はますます高まっていくと見ています。まず山中さんのご自身の人生が国内からグローバルに向いたきっかけとは何だったのでしょうか?

山中:はい。高校時代の体験がそのきっかけであり、同時に、私が現在主に小学生を対象に今までにないオンライン英会話サービス「マグナパーティ」を提供している背景でもあります。

具体的には、高校時代の夏休みに英語もろくに話せない状態で単身でアメリカへ行き、現地の同世代の学生とサマーキャンプに参加した体験です。実はそれまでは自分に自信がある方ではなかったんですよね。1ヶ月弱の滞在中にロデオをしたり、ダンスや水上スキーをしたり、色々なアクティビティをして遊びまくるのですが、当時の自分はダンスなんてしたこともなく、「ちゃんとできなきゃいけない」という意識が強くって、正解にとらわれているというか・・・。最初はあまり楽しめなくて。

一方で、アメリカ人の学生は「楽しめばいいじゃん」みたいなノリで、羨ましかったですね。ただ、ある日から「どうせ誰も自分のことを知らない環境なのだから、格好をつけずに楽しもう!」と切り替えて、ひたすらはっちゃけることにしたんです。すると、週末のダンスパーティでも当時気になっていた現地の女の子に声を掛けることができたり(笑)、新しい自分に生まれ変わったような感覚でした。

この経験は大きな自信になりました。英語はビジネスや受験に「役に立つ」道具とよく言われますが、それって一部の方にしか必要ないものじゃないですか。私自身は「役に立つ」という捉え方はしていなくて、もっとすごいものだぞ、と。英語って、まだ見ぬ自分に出会える、魔法のステッキなんだと思うんです。

日本人で英語を話せる人って、多くが留学経験者の方なんですよね。けれど全員が留学できるわけではありません。世界を知ることはこんなに人生を豊かにしてくれるのに、一部の方のものにしたらもったいないなと思うんです。私は英語ができない状態で海外に飛び込みましたが、言葉の壁は心の壁になります。この原体験が、すべての日本人を英語ペラペラにし、世界との言葉の壁・心の壁をなくす、というマグナパーティのミッションにつながっています。

加藤:なるほど。隠れていた新しい自分を発見するという喜びが、今のユニークな事業の根底にあるのですね。新しい環境に飛び込んで挑戦する大切さには、私もとても共感します。

山中:語学に限った話ではなく、自分が身を置いたり挑戦したりする環境を変えることで、人は「自分すら知らない自分」に出会い続けることができると思うんです。私は起業前のサラリーマン時代には自分が起業するイメージを強く持っていたわけではないのですが、このように新しいことに挑戦し続けているのは、新しい自分に出会えた高校時代の成功体験がベースになっているのだと考えています。

MUSTの英語からWANTの英語へ

加藤:私は、今では生活や仕事で日常的に英語を使いますが、コミュニケーションとしての英語の勉強を始めたのは20歳ぐらいからで、遅い方なんですよね。しかも勉強を始めた動機は、就職やキャリアのために英語を使えた方が良いだろうという損得勘定でした。自分なりに頑張りましたが、勉強自体はあまり楽しくなかったです(笑)。山中さんが、コミュニケーションとしての英語の学習で大切だと思われることは何でしょうか?

山中:私たちが一貫して大切にしているのは「ファンラーニング」という考え方です。

大人は勉強や仕事で英語を学ばなくてはならないという「MUST」の意識で学べるのですが、日本に住む子どもたちにとって英語はMUSTのものにはならないんです。英語を使わずに日々生活ができるからです。

よくあるのが、英語教室の週1時間だけ英語を勉強するけど、あとは何もしないという状況です。語学に限らず、ピアノでもサッカーでも週1時間だけでは上達しようがないですよね。

英語が話せるようになるために一番必要なこと、それは「接触量」です。英語はたくさん使えば必ず話せるようになります。ではどうしたら「接触量」を増やせるのか?子どもたちにとって英語を楽しいもの、「WANT」にすること、この一択です。

「WANT」とは単純に「楽しい遊び」ということではなく、子どもたちの学習段階によってアプローチを変えていく、ということです。2018年から東京学芸大学さんと共同で、私たちのこのファンラーニングについての研究に取り組んできました。

例えば、「オールイングリッシュの環境がベスト」って思いがちじゃないですか。これもウソなんです。正確にいうと、学習段階による。帰国子女のような既に英語に対してモチベーションのある子はいいんです。けれど、日本にいる初学者をいきなりオールイングリッシュの学童とかに入れてはダメです。苦行の時間になってしまって、ほとんどの子たちが「耳は慣れたけど話せるようにならなかった」で終わります。

子どもたちは「できること」が「好き」になっていきます。だからスモールステップで「できた!」を繰り返していくこと、これが子どもたちにとって英語を「WANT」にしていく秘訣です。

「テキストファースト」ではない「感情ファースト」の学習アプローチ

加藤:今は小学生を中心にオンラインの英会話レッスンを展開されているとのことですが、語学を勉強ではなく「ファンラーニング」にするための工夫や取り組みについて、とても興味があります。

山中:私は、一般の英会話学校などで日本人が受ける英語教育の問題の一つは、「教科書の復唱」だと思っています。例えばですが、教科書に書いてあるから” Which do you like , apple or orange? (りんごとオレンジどっちが好き?)を話そうなんて言っても、盛り上がりようがないですよね。

そこで、弊社のプログラムでは教科書を使わずに、「子どもたちが話したくなる」様々な仕掛けを用意しています。「伝えたい」ことがないのにコミュニケーションなんて学べないですよ。だからマグナパーティは「テキストファースト」ではなく「感情ファースト」です。

加藤:なるほど。お話を聞いていると、語学を教えるのではなく、コミュニケーションの場をつくっている感じですね。それをオンライン上でどのように行なっているのかがまだイメージしきれていないのですが、子どもたちが感情ファーストで会話をするためにどのような環境を用意されているのでしょうか。

山中: 動画を見て頂くとわかりやすいと思うので、ぜひ動画をご覧ください。私たちのレッスンでは、毎回世界の冒険を通じて日常会話に必要なフレーズを習得していきます。この動画は、ドラキュラ城で「I want to ○○/ I don’t want to ○○」を学ぶ回なのですが、薄気味悪い回廊を「前に進む?どうする?」という外国人講師の問いかけに対して、子どもたちは進みたいから「I want to go straight!」と意思表示をします。そんな意思表示をしたくなるシチュエーションをオンライン上で作っています。英語を使うとトラブルが解決したり、外国人講師が面白い反応をしたりしてくれる。だから一生懸命英語を使おうとするわけです。

テキスト通りじゃなく、自分たちの感情を伝えることを大事にする。これが「感情ファースト」です。このプロセスであれば、ほとんどの子どもが英語を使うことを面白がってくれます。そして、指示を受けて英語を言わされるのではなく、自分で判断して英語を話します。これは実際に外国人と話すときと同じ状況なんですよね。だから超実践的なトレーニングでもあります。

教科書の復唱をいくらやっても話せるようになりません。実際に外国人と話すときは、何を言うか、どう文章を組み立てるか、瞬時に自分で判断しなくてはいけません。ですが、復唱では繰り返すだけで自分で判断しないので、実際に話すときに判断できなくて固まってしまうんです。それが私たちが受けてきて今も続く日本の英語教育ですよね。

加藤:確かに、順序としては感情があるからこそ言葉が出てくるわけですから、この順番は理にかなっていますね。「テキストファースト」ではない「感情ファースト」の学習アプローチ、とても面白いしユニークに感じました。

すべての日本人のための学習法、それがファンラーニング

山中:「感情ファースト」で語学を学んでいき、私たちの英語学習アプリでも日々英語に触れていくと、週1回の受講でも、初学者の方も2〜3年後には外国人講師に自分のアイデアや考えを伝えられるようになります。

加藤:日本人は自分の感情を表に出さないのは美徳の一つと教えられる風潮もありますし、母国語の日本語でも自分の感情の表現が苦手な人は多いのかもしれません。感情ファーストの語学の学習は、多くの日本人に「新しい自分の発見」を促し、日本全体を変えるきっかけになるかもしれませんね。

山中:外国に行くと、日本で重要とされているヒエラルキーや価値観は絶対的なものではなく、世界は数多くの価値観で成り立っていることに気づかされます。世界を知り、自分と違う価値観に触れることは、自分でも知らない可能性を見出せる楽しさを与えてくれます。語学とはまだ見ぬ自分に出会える魔法のようなものであり、語学を学ぶ最大の価値はそこにあると思いますね。だからこそ、すべての日本人に使えるようになってほしいのです。ストイックな勉強も留学も一部の人しかできません。それでは日本の英語人口は増えませんよね。楽しみながら学ぶ、だからすべての日本人に届く学習法、それがファンラーニングなんです。

後編へ続く

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